2016年07月10日

「論語入門」申請しました

 月刊青空文庫を作成していると、下村 湖人著の「論語物語」「現代訳論語」の2つが出そろったので、論語関係のコンテンツを集めて一冊にする事にしました。「論語物語」は小説風になってていて、とてもわかりやすい内容です。論語の内容そのものを知る上では「現代訳論語」は最適でしょう。

 今回はそれに加えて、孔子のコンテンツも収録しました。和辻 哲郎著「孔子」と中島 敦著「弟子」を追加しました。「孔子」は釈迦、孔子、ソクラテス、イエスの四聖との比較を通じて孔子の実像に迫ろうとする論述で、「弟子」は孔子と子路の関係を描いた短編小説です。

 収録作品は次のようになっています。

・下村 湖人「論語物語」(一九三八年)
 論語に書かれたテキストを元に、それぞれを物語風に解説したものです。物語風なのでたいへんわかりやすく、その意味するところをすぐに理解できます。取り上げられたトピックは次の通りです。
 
富める子貢
瑚l
伯牛疾あり
志を言う
子路の舌
自らを限る者
宰予の晝寢
觚觚ならず
申棖の慾
大廟に入りて
豚を贈られた孔子
孝を問う
楽長と孔子の眼
犂牛の子
異聞を探る
天の木鐸
磬を撃つ孔子
竈に媚びよ
匡の変
司馬牛の悩み
孔子と葉公
渡場
陳蔡の野
病める孔子と子路
一以て貫く
行蔵の弁
永遠に流るるもの
泰山に立ちて

・下村 湖人「現代訳論語」(一九五四年)
 「現代訳論語」は論語の内容をそのままズバリ解説したものです。論語は全二〇篇からなり、最初の二文字もしくは三文字を取って篇名が付けられています。論語の構成は次のようになります。
 
学而(がくじ)第一
為政(いせい)第二
八佾(はちいつ)第三
里仁(りじん)第四
公冶長(こうやちょう)第五
雍也(ようや)第六
述而(じゅつじ)第七
泰伯(たいはく)第八
子罕(しかん)第九
郷党(きょうとう)第十
先進(せんしん)第十一
顔淵(がんえん)第十二
子路(しろ)第十三
憲問(けんもん)第十四
衛霊公(えいれいこう)第十五
季氏(きし)第十六
陽貨(ようか)第十七
微子(びし)第十八
子張(しちょう)第十九
堯曰(ぎょうえつ)第二十

 「現代訳論語」ではたとえば「学而第一」を十六節に分けて、それぞれを現代語に翻訳しています。必ずしも直訳ではなく、原文の真意に添うかたちで解説しています。全二〇篇を四九九節に分割し、必要なものには訳注が追加されています。なお、冒頭の「論語」を読む人のために」の最後に孔子の略歴が記されています。

・和辻 哲郎「孔子」(一九三八年)
 哲学者で倫理学の大家である和辻哲郎が著した孔子論です。人類の教師とする釈迦、孔子、ソクラテス、イエスの四聖との比較を通じて孔子の実像に迫ろうとする作品です。


一  人類の教師
二  人類の教師の伝記
三  『論語』の原典批判
四  孔子の伝記および語録の特徴
付録 武内博士の『論語之研究』

の四つの章と付録で構成されています。

・中島 敦「弟子」(一九四三年二月)
 孔子の高弟の一人で、直情径行で質実剛健な性格ゆえに孔子に愛された子路は孔子と出会い、孔子に師事し、孔子の勧めで衛で仕官します。そののち衛での反乱で子路が死ぬまでを描いた小説です。Wikipediaには

孔子に弟子入りした子路がその直情径行な性格と儒学の大きな差の中で苦しみつつ学んでいく姿と、子路を叱りつつも彼を愛した孔子とを情感豊かに描いている。

と解説されています。


 本書では時代背景をわかりやすくするために春秋時代の地図を追加しました。晋が趙・韓・魏に分割され、東北の燕、東の斉、西の秦、南の楚が領土を拡げて戦国時代を迎えます。孔子が彷徨った国の中で戦国時代までかろうじて命脈を保ったのは衛だけで、それ以外はすべて大国に併呑されました。

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 孔子は古代中国の春秋時代と呼ばれる時代の人です。周王朝の威信が衰え、中国文化圏が広がる中で、諸侯が覇権を競い合った時代でした。やがて小国は大国に併呑され、大国の晋も家臣によって乗っ取られ分断されて、戦国時代を迎えます。その中から信賞必罰の実力主義を採用した秦が中原の統一を果たします。

 秦の政策は平和な時代には向かず、始皇帝贏政が死んだあと内乱が拡大します。楚漢戦争を経て、漢が成立します。統治機構を持たなかった漢は、儒教を採用して内治の道具としました。それ以降、中華では儒教が実質的に「国教」でした。もっとも前漢は武帝の曾孫宣帝の跡継ぎだった元帝が儒教に入れ込み、儒教を中心とした政策をとりましたが、後に外戚の王莽によって国を簒奪されてしまいます。

 儒教の歴史はともかく、論語の孔子の言葉を覚えておいて、時に引用すれば、賢く見える事はまちがいありません。







posted by じん at 11:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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